2015年に放送されて人気だったドラマ「コウノドリ」の第2シーズンが、放送中。
いよいよ最終回まで残り一回になりました。
今回も、俳優さんや視聴率などのお話は専門のサイトにおまかせして、ママ目線で感想とマンガシリーズとの関係などをまとめてみます。
ドラマ「コウノドリ」とは
TBS系列 金曜日夜10時から放送。
鈴ノ木ユウ氏がモーニング連載中の『コウノドリ』(講談社刊)を原作とした、綾野剛主演のドラマです。
ドラマ「コウノドリ」第二シーズン 第十話
2017/12/15 PM10:00~放送
漫画版「コウノドリ」との関係
今回の出生前診断のエピソードは、ドラマオリジナルものです。
出生前診断は原作にありません。正確には僕にはまだ描けない話。連載から5年、未だ答えが出せない、出すのが怖い、理由は色々あると思います。だからこそ脚本の坪田さん、監督、役者さん、スタッフさんの踏み出した一歩の勇気に大きさを感じました。綾野さんが素晴らしかった。彼は鴻鳥サクラでした。
— 鈴ノ木 ユウ (@suzunokiyou) 2017年12月15日
ドラマ版「コウノドリ」第二シーズン第十話の感想
今まで、ここまで踏み込んだ内容のドラマはなかったと思います。
原作ですら、語れなかった内容。
今回の脚本を作られた方、制作のGOを出した方、そして演じられた俳優の方たちに心から敬意を表します。
出生前診断のエピソードについて
サクラの「どの選択も間違ってない。いや、間違ってなかったと思えるように…」というセリフが全てかなと思います。
出生前診断というと、脊髄反射的に「命の選別」「多様性を受け入れない社会」なんて言われます。
これまで放送されてきた番組でも、多くが出生前診断そのものに疑問を投げかけるものだったり、結果によって中絶を選ぶ人を「酷い人」という描き方をされてきました。
でも、子どもを産んで育てていくっていうのは、本当にきれいごとではないんですよ。
説得して中絶を回避させられたら、その人は良いかもしれない。「良いことをした!」と満足かもしれない。
中絶をする人を責めるのはもっと簡単ですよね。正論を振りかざしてしまえばいい。
でも、産んで育てて、これから何十年と背負っていくのはママとパパなんです。
批判を覚悟で言えば、私はNIPTコンソーシアムの病院でNIPTを受けました。
もう3年以上前になりますから、本当にNIPTというものが世の中に知られ始めたばかりのころ。
ごくごく親しい人を除けば、周りの人たちには内緒にしていました。
やっぱり周りから「障がいをもつ人の命を認めないなんてひどい」と言われるのが怖かったからです。
知っていたのは実母と旦那だけ。義理のお母さんは、いまだに受けたことも知らないはずです。
(最近は、出生前診断について相談されることがあれば、経験を話しているので、だいぶ知っている人が増えましたが…)
私の場合は「遺伝子疾患が見つかれば中絶する」とNIPTを受ける前に、私は決意をしていました。
パパにはもちろん一緒に考えてもらいましたが、最終的な決断は私の意思です。
パパが産むなというから、とか義理の両親が、とか実両親が……という意見に押された決断では、絶対に最後に揺れます。
お腹の子どもの命の責任をとるのは、最終的にはやっぱりママ自身だと思うのです。
だから、何よりも自分自身で決断が出来ていないのであれば、出生前診断は受けるべきではありません。
今回のりょうさん演じる明代さんのご夫婦は、ママのほうに確固たる決意があったから最後まで揺らがなかった。
一方の高山さん夫婦は、ママの中に決意がないままだったから迷ってしまった。
個人的に高山さん夫婦が、今後離婚してしまいそうで気になりました……。
最終的には、娘と母で決めてしまって、旦那さんは蚊帳の外。
何かがあったときに「だから俺は産むなっていったじゃん」って言われそうですよね。
実母さんもいつまでフォローできるかわかりませんし、正直かなり心配な気がします…。
旦那さんが「俺が責任を持って二人を守るから」とでも言ってくれればもうちょっと安心出来るのですが、この演出は逆にものすごいリアリティがあって素晴らしかったです。
だって、世の中の旦那なんて、そんなもんですよ。ほとんど。
私の場合は、上に二人子どもがいたので、上の子二人に負担を負わせることになるくらいなら、私一人で抱えてしまおうと思っての決断です。
どんなに頑張っても、親は子どもより早く寿命がきます。
残されるのは兄弟だけです。最後の責任は、どうしても兄弟にのしかかります。
明代さん夫婦と同じ部分もありますね。
あのとき、「パン屋さんになりたいんだって」と言ったママの一言が全てです。
障がいを持った弟や妹がいたら、自由に夢を語れなくなってしまうかもしれない。
本来手に入るはずだった希望に満ちた未来を、諦めなくてはならないかもしれない。
今目の前にいる我が子に、そんな苦労は背負わせたくないです。
誤解しないでほしいのは、きょうだい児が全て不幸だとは全く思っていません。
ただ、親として出来るものならなるべく苦労は減らしてあげたいと思うだけです。
私は個人的に、それが親として、今いる上の子への責任だと思ったんです。
もちろん、検査でわからない障がいをもって生まれてきたのであれば、それは責任と愛情をもって育てる自信があります。
それでも避けられるリスクがあるのなら、少しでも避けたいというだけの話しです。
それこそ、今回のドラマにあった、実母さんの「あんたが苦労するところは見たくない」と同じ気持ちです。
今回の「コウノドリ」は、「安易な中絶が増える」なんていう無責任な批判に、きちんと正面から向き合ってくれたと思います。
もしかしたら安易な検査は増えるかもしれませんが、安易な中絶なんてどこにもありませんよ。
深くて悲しい葛藤が繰り返されているんです。
私がNIPTを受けたときの体験記はこちら↓に詳しく書きとめてあります。
受けてみようか悩んでいる方、これから受ける方は、流れを知っておけるだけでも安心すると思いますので、よろしければのぞいてみて下さい。
参考新型出生前診断(NIPT)体験レポート
NIPTにかぎらず、出生前診断を受けようと考えている方は、受ける前にかならず「もし陽性だった場合に、産むのか産まないのか」の結論を出してからにしてください。
診断がでてからでは冷静な判断ができません。
もちろん、あとで考え直してもかまいません。
でも、「これこれこういう理由で、産むor諦める」と、自分の中でしっかり言葉にしておくと、そのままの結論で進むときにも、結論を変えるときにも迷いませんし、家族にも説得ができます。
ただ、個人的には第一子で「どんな子が生まれても大切に育てよう」と思えている方には出生前診断はおすすめしません。
出生前診断っていうのは、「もしもの時の準備のため」と割り切れる方か、「陽性だったら諦めよう」と決断ができた方のみが受けるべきものではないかなと思います。
「コウノドリ」の原作コミックを読む、ドラマをオンデマンドで観るには
シーズン1「コウノドリ」(2015)は、こちらで見られます。
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「コウノドリ」の原作に興味を持った方は、電子書籍でも読むことが出来ます。
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